伝統魏劇発展史

演劇の前史:古代?六朝(上古?紀元6世紀)

社祭など、呪術性をもつ祭祀儀礼が維持されたため、演劇は未発生でした。
『詩経』『楚辞』や『楽府』など演劇的要素をもつ文学が存在しましました。
『儺(おにやらい)』後の仮面劇の源流が誕生しましました。

演劇の準備期:唐(7?9世紀)

異国情緒と貴族趣味の時代です。
シルクロ?ド経由の西域音楽が流行し、詩歌が発達しました。
農村では「社」の組織が宗教色を失い、祭祀儀礼の芸能化が進みました。

歌舞戯の成立(演劇の萌芽)

『参軍戯』 「ボケ」と「ツッコミ」による即興的コントです。
『大面(蘭陵王)』 ものがたりを伴う舞楽。北斉の蘭陵王長恭は、勇将ながら少女のごとき美男子だったため、常に仮面をつけて戦陣に望んだという物語です。この演目は 遣唐使により日本に伝えられ、日本の雅楽に残っています。

演劇の発生期:宋(10?13世紀)

伝統主義と庶民文化の時代です。
生産力の飛躍的向上により、人民の生活水準も向上しました。
宗教信仰の薄れと新しいタイプの祭祀組織編成の要求が芸能化を促進しました。
農村市場圏の形成により、演劇を支える社会的条件が整いました。
都市空間の構造的変化(瓦子=盛り場の形成)により、諸宮調(うたいもの)が流行しました。

『董西廂』 唐代の伝記をもとにした自由恋愛の物語です。

北中国:院本(別名:雑劇)が流行し、鎮魂演劇が発生

南中国:戯文が発生

演劇の成熟期:元(13?14世紀)

科挙の廃止により暇になった知識人が演劇脚本を書き始めました。
現存最古の戯曲脚本は元代のものです。

北中国:「元の雑劇(別名:北曲)」の成立

初期の雑劇は、古い形(鎮魂演劇)を残しています。

『関張双赴西蜀夢』 関羽、張飛の亡魂が劉備の枕元に立つ物語。
『地蔵王證東窓事犯』 地蔵王が岳飛の霊の告訴を受け秦檜を断罪する物語。
『昊天塔孟良盗骨』 楊継業の遺骨奪還と仇討ちの物語。
『竇娥冤』 冤罪で処刑された女性の裁判のやり直しの物語。
『西廂記』 異例の長編。男女の自由恋愛を描き、宗族社会への挑戦を現しています。

南中国:「南曲」の発展

『琵琶記』 もともとは妻を裏切った男が、雷に打たれて死ぬ、という暗い話。元末にハッピ?エンドに改作されました。

演劇の発展期:明(14世紀?17世紀)

恐怖政治と頽廃の時代です。
初期は重農主義、中期以降は墨銀の流入など商業経済が発達しました。
社会階級の分化進行→観客層の分離→演劇の分化(地方劇の発達)。
宗族社会の強化により、演劇に対する社会的要請も変化しました。

崑曲の成立:都市部では、南北曲が優美な「崑曲」として発展

一流の文人が戯曲作品を書き、演劇の芸術化が進みました。

『牡丹亭還魂記』 美の世界を追究した恋愛劇。

地方劇の発展:農村部では各地の方言や民俗に根差した地方劇が発展

秦腔などは当時既に成立していたとされています。

演劇の完成期:清?現代(17世紀?20世紀)

全国で五百種類にも達する地方劇が誕生しました。

中央:崑曲は、一流の文人が戯曲作品を制作

『長生殿』 玄宗と楊貴妃のロマンスを描いた物語。
『桃花扇』 明朝滅亡前後の大河ドラマ。

地方:面白い芝居が「地方劇」として発展

『秦香蓮』 妻子を裏切った男の破局を描いた物語。
『白蛇伝』 崑曲系では悪役だった白蛇が、正義のヒロインとなっています。

京劇の成立

18世紀以降北京で各地方劇が融合し、京劇が成立しました。現在まで、中国を代表する伝統演劇となっています。

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